シャープの鴻海買収や東芝の半導体事業の分社化といい、最近の日本エレクトロニクス産業の海外流失に歯止めがかかりません。これは今に始まったことではなく、かつて世界トップの半導体シャアであったNECや東芝、日立、富士通も今では、韓国のサムスンや台湾のTSMCにシェアを奪われました。アメリカのインテルはシリコンバレーといった半導体本拠地でもあるため、依然としてトップクラスであるものの、スマホ向けプロセッサとしてアメリカのクアルコムが頭角を現してきています。

 　それと同じくして、パソコン国内市場でさえもかつてはNECや富士通が主体であったのが、中国のLenovoやアメリカのHP、DELL、台湾のAcerやASUSが目立つようになってきました。どちらかと言えば、安価な製品がシェアを広げています。 

　自分もかつてはNECのLAVIEを使っていましたが、安価なDELLやLenovoを買いました。昔から国内メーカーのものは信頼もあり、機能も盛りだくさんで充実していますが、時代が最小限スペックでより安価なものを求めるようになったため、それらの海外メーカーがシェアを拡大できたのだと思えます。今でも昔ながらのスタイルを貫こうとする国内メーカーはAll In Oneのパソコンが目立ちます。またデザイン性を重視したAPPLEのMacは独自の技術とブランド力で売り上げていますので、国内メーカーがなかなか割って入れない状況にもなっていきいます。

　鴻海精密工業は中国で8Kディスプレイ生産工場を2019年に稼働するため建設を着工しています。日本よりも先駆けて８Kテレビ液晶パネルの製造になれば、地デジ化の時のような国内生産液晶パネルを用いた価格の高い液晶テレビ製造を飛び越え、今のような海外メーカーの安価な液晶パネルに早々と切り替われば、８Kテレビも安価に手に入れられるようになるかと期待してしまうところです。

しかし、その内容は65型、75型ディスプレイと割と大きなものです。アメリカなどの大国は大型なものを好むお国柄でもあり、60、70インチのテレビも受け入れられやすいでしょう。日本では国土が狭いため、なんでもコンパクトに収まりたいお国柄で、そんな大きなものは受け入れがたい傾向にあるかと思います。

となれば、やはり日本独自の８K液晶パネルの需要も求める必要が出てきます。日本文化からしても、コンパクトでコスト削減し、詰めの甘い海外製品より、高密な技術を駆使すれば、決して活路を見出せないところでもないように思えます。だいたい、地デジ化、大型化した今のテレビですら、50インチ以上は買いたいとは個人的に思いません。またスマートフォンでも6インチなど大き目のディスプレイがありますが、携帯性を考えると5インチまでぐらいがスタイリッシュで調度良いように思えます。やはり海外製品は日本人の体質、体格には向かないかと思うのです。

　マイクロソフトやグーグル、フェースブックなど関連企業は相変わらず、アメリカが独占しているようなものです。それを覆すのは不可能と言えるでしょう。これからIoT、AIや自動運転技術が求められる中、ますます企業価値は高まる一方です。

　日本では５Gといった次世代モバイル通信にはなぜかやたらと急いでいる印象があります。その通信速度は10Gbps と驚異的なスピードですが、実測値は疑わしいものです。不安定な速度であるなら、いっそWi-Fiで狭い日本をカバーできるようにいった方が確実で日本らしいかと思えます。国土の広いアメリカ、中国では長距離通信は必要不可欠でしょうが、国土の狭い日本なら光ファイバー網で埋めつくせますし、常時高い通信速度を保てるかと思います。

　開発、研究においても、日本のテクノロジーは先進的には見えますが、欧米各国に遅れをとっています。このままだと機器製造は中国や台湾に奪われ、韓国には有機ELの量産化など技術で追い越されて、IT分野はアメリカに敵いません。日本は行き場を失われてしまったかのようです。

しかし、それは海外に合わせすぎた誤算だったようにも思えます。日本人にあったものを自分が欲しいとするものを作っても良いのかと思います。自分本位なのかもしれませんが、アメリカが自国第一主義であるなら、日本がそうあることなど微々たるものです。

そうして内需で回っていける産業であった方が未来のビジョンが見えてくるようにも思えますし、GDPよりブータンのGNH（Gross National Happiness）のような考えも持っても良いのではないかと思えるのです。結果がすべてでもあります。それはそれで成果はあるのかと思うのです。