光回線10Gbpsは十分ではない⁉ブレークスルーには⁉
光ファイバー回線が普及し、一般的になったわけですが、回線速度は、技術革新より上がってきています。初めは100Mbps程度だったのが、その後10倍の1Gbpsになり、今ではさらに10倍の10Gbps回線が登場し始め、それが一般的になりつつあります。
ここ数年で10倍、100倍になった産業が他にあるでしょうか。半導体産業ですら、1年半から2年程度で集積密度が2倍になると言われてきた「ムーアの法則」法則も終焉に近づきつつあり、鈍化傾向になります。かつて世界トップシェアであった日本の半導体関連は、見る影もなく後退し、海外の台湾、韓国、中国に抜かれてしまっている状況です。
IT革命は、半導体産業からの脱却⁉
とはいえ、それは技術的な面というよりも、経済的な面において、伸びしろが少なくなってきているが故の衰退だったのかもしれません。ここのところのパソコンに搭載されるCPU性能は、以前の見違えるようなスペック性能が上がっていないのは、技術的な面というより、それ以上の性能を必要としていないとも読み取れます。
メモリー関連もSSDなどの容量は上がってきて、HDDに打って変わってきてはいますが、まだ単価が高いです。半導体関連で伸びているのは、GPU関連です。いわゆるグラフィックボードにおける性能面が躍進しているだけです。
しかし、そのGPUを必要とするのは、ゲーム関連という限られた市場のため、経済的な伸びがあるとは考えづらいです。そのためメタバースやVRといった新たな産業の開拓をしていると言ったところですが、今まで3D関連は、一過性のブームで終わるのが通例だったのです。
3Dテレビもそうだったように、日本はその失敗談があるがためにあえて手を出さない選択を取っているとも言えるのです。日本の半導体産業を衰退と思うより、さらに量子コンピューターという技術開発されている事から時代の流れとして当然あったのでしょう。
とはいえ、スマートフォン関連への切り替えが遅かったのは否めない事実でしょう。スマートフォンではSocと言った、パソコンとはまた違う半導体が必要なため、そのチップ開発は急務ではあったのですが、日本では、パソコンの劣化版にしかならないようなチップ開発は乗り気ではなかったのかもしれません。
日本のIT革命は、インターネット環境の充実
という事で、日本の家電産業も電子デバイス産業も、海外勢に押されてしまった状況にありますが、それは時代の変わり目だからに他なりません。2000年代、産業がやや停滞、低迷気味になっている頃、IT革命が謳われた時代がありました。それが、今のGAFAになったと思うとIT革命が実を結んだわけです。
一方、日本では、ガラケーからスマートフォンへ、3Gから4G、そして5Gへ、電話回線からインターネット光回線の普及へ、躍起になっていたのです。ソフト面というより、ハード面の切り替えが活性化していったのです。それが、ガラパゴス携帯のように日本の感覚と世界とのズレとでもいうか、良くも悪くもオンラインサービスが充実している結果にはなったでしょう。
これほど、国の端から端まで、オンラインが行き届いている国が他にあるでしょうか。他の国は、ごく一部の都市部が、回線が安定して使えているにすぎません。日本は、国全体を網羅するほど、回線が充実しています。そのおかげで、日本中どこにいてもインターネットに快適にアクセスできているのです。
5Gと光回線は、そもそも目的が違う
これほど快適なオンライン環境があるのは日本だけのような感じがします。とくに、5Gなど電波通信は、災害などで、幅広い地域を網羅しますが、それは海外や国土の広い国では一般化していくのは当然な流れで、世界的に普及しているのは当然です。
しかし、電波通信では、減衰と干渉があるため、通信速度に限界があるのです。6Gなども言われていますが、局所的な範囲でしか、満足いく回線速度にならないはずです。それより光ファイバのような物理的な回線の方が、安定的な高速通信が可能です。
電波通信のように減衰や干渉が少ないため、高速通信が安定的に確保できます。電波ではないため、広範囲を網羅するような事はないですが、それは光ファイバー網を張り巡らせる事でカバーしていけるのです。また、遅延が少ないのも光ファイバーのメリットです。そのおかげでオンラインゲームなどのエンターテイメント性も充実していけるのです。
衛星を使ったインターネット回線などは、インターネットの未開の地や災害などで重宝されていくため、必要な技術ではありますが、電波を用いるため、速度の遅さや遅延で制限されることも多いです。電波通信と光ファイバー通信はどちらが良いというより、目的が違う事を大前提に考えるべきでしょう。
日本のIT革命は、光ファイバー網(FTTH)だった‼
さらに、光ファイバー通信技術は発展途上の段階です。光ファイバー内の光の波長は、干渉する事がないため、双方向通信や多チャンネル化により回線速度を劇的に向上させられるのです。従来の銅線を使った電気的な通信よりも、圧倒的な通信量が可能になるのです。
新型コロナでリモートワークが余儀なくされた方も多いかもしれませんが、トラフィック量が激増したように、光ファイバー通信網が充実していた事が功を奏したのです。とはいえ、国土が狭いが故に日本ほど、光ファイバー網が個々に行き届いている環境はそうないでしょう。
そのおかげで、インターネットオンラインサービスが充実しているのも間違いありません。インターネット動画がダウンロードからストリーミング再生になった事や格闘対戦ゲームがオンライン対戦可能になったのも、遅延が少ない光ファイバーのメリットです。ネットショップがこれほど普及したのも回線速度が上がり、より解像度の高い、つまり情報量の多い映像を品物を見定められるようになったからです。
光回線10Gbpsでは、足りない‼
日本は、IT革命で後れを取っているように思われますが、それはGAFAのようなソフト面であって、光ファイバーの普及などのハード面では、かなり先行しているように感じます。そのおかげで新たなサービスが誕生していけるのも確かでしょう。
それは、光ファイバーの技術革新がまだまだ発展途上の段階にもあるからです。光ファイバーの回線速度が上がっていけるのは光の性質上、干渉しないからだと言いましたが、それも光ファイバーの形状が今のシングルコアの話で、光ファイバーが束になるマルチコアを採用した場合、この通信速度が、ますます上げられるのです。
今でこそ、10Gbps回線ですが、それらを何10倍に上げられるポテンシャルがあるのです。今の常識では、10Gbpsは、そんなに必要あるのかと思ってしまうところです。今の段階では、大容量のゲームや動画コンテンツのダウンロードには重宝されるくらいでしょう。
8K動画ですら、100Mbps あれば十分ですから、今は必要性を感じていないだけです。ただ、8K動画ストリーミング再生するにしても、それはデータを圧縮して送っているわけであって、それらを圧縮するにも復元する(エンコード、デコード)するにも処理に負荷がかかり、遅延が発生してしまうわけです。そのため、PSNOWのようなオンラインゲームは何かと遅延が発生してしまうため、まだ十分な環境ではなかったのかと考えられます。
ブレークスルーするには、100Gbpsは必要‼
ただ、光ファイバーの回線速度が、今の10倍、100倍と上がっていくと話は別になります。データを圧縮する必要性がなくなり、ダイレクトに映像に入力可能になるのです。
今のHDMIデータ転送レベルをダイレクトのやり取りできるようになり、遅延が無くなるわけです。エンコード、デーコード関連の半導体チップも省けるようになり、場合によっては、ゲーム機すら必要なくなるわけです。通信量を減らす意味では、それがなくなるのは、現実的ではありませんが、極端に言えば、そのような事が可能になるため、ダイレクトにデータをやり取りできるという面では、VRなどもよりリアリティーが増すかもしれません。
とはいえ、今の10Gbps程度では、HDMIのデータ転送容量をカバーできておらず、最新のHDMIが48Gbpsまで対応しているため、光ファイバー回線ももう少しで、そのレベルにはなってきています。つまり、光ファイバーが100Gbpsが普及する頃には、ディスプレイにダイレクトにデータ転送することで、今の品質をレベルのゲームはゲーム機なしでも可能になるわけです。
日本はIT後進国のように思われがちですが、光ファイバー網というIT基盤が充実している事がリモートワークなどの不測の事態に対応できているのです。もし今後、さらに光ファイバー回線速度があがれば、半導体を需要は減っていくのかもしれません。それを、見越していたのであれば、オセロがひっくり返るように、日本はIT先進国になるはずです。
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